50代、あるいはベテラン世代として働く常勤薬剤師の皆さん。日々の業務にやりがいを感じながらも「年々体力的な負担が増えてきた……」「このまま10年後も同じ働き方を続けられるだろうか」と不安を感じることはありませんか?親の介護について考える機会もあるでしょう。
一方で「薬局や病院で働く以外の選択肢が見つからない」「収入は大きく減らしたくない」といった考えから、今の環境に縛られている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、薬剤師の資格や今までの経験を活かしながら、無理なく長く続けられる“+α”の働き方を紹介します。
薬剤師ライターうちやま あきこさん
10年後も前向きに、自分らしく働き続ける未来を考えてみませんか?
50代薬剤師が直面する3つのハードル


近年は定年後も働き続ける人が増えており、薬剤師も例外ではありません。[1]長年の経験と専門知識は大きな強みになる一方で、キャリアを重ねるにつれてさまざまな悩みや問題点が生じることもあります。
あらためて自身の働き方について見直す中高年の薬剤師の方もいるでしょう。この章では、多くの50代・ベテラン薬剤師が直面しやすい3つの課題を挙げます。
体力や身体面の変化
年齢を重ねるにつれ、体力や筋力、視力などの身体的機能は徐々に低下していきます。
50代に入ると、
「若いころはもっと早く覚えられたはずなのに」
「最近は立ち座りの動作がつらい、腰も痛い」
「老眼で小さな字が見えない」
と働き辛さを感じる薬剤師も少なくありません。



うちやま あきこさん
このような身体的な変化は、集中力の低下や業務への影響にもつながる場合があり、日々の薬剤師業務を負担と感じる要因になります。
役職・責任の増加による負担
さまざまな経験や知識をもっている50代薬剤師は、管理薬剤師などの役職を任されるケースが多くあります。なかには経験年数だけで管理薬剤師を任されている場合もあるでしょう。
また役職についてなくても、周囲から相談を受けたり、指導役として頼られたりする場面も増えてきます。そのような役割にやりがいを感じる一方、責任の重さやプレッシャーにより精神的な負担を感じることもあります。
親の介護の問題
50代は親の介護が身近になる年代です。親の通院の付き添いや急な呼び出しなどにより、勤務時間の調整が必要になる場面も少なくありません。
介護による負担が増えると、疲労や睡眠不足により体力や集中力が持続せず、業務に影響が出る恐れもあります。



うちやま あきこさん
このように、介護と仕事を両立しながら、これまでと同じように薬剤師として働き続けることに難しさを感じるケースも多いと考えられます。
50代薬剤師の強み


ここまでは50代薬剤師が直面しやすい課題について紹介しましたが、50代薬剤師ならではの強みもあります。長年の実務経験をもつ50代薬剤師は、さまざまな症例に接し、幅広い疾患と薬の知識を習得しています。



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また、多くの患者対応を経験しているため、一人ひとりにあった言葉がけや寄り添い方ができるなど、高いコミュニケーション能力を備えている薬剤師も多いです。
さらに、豊富な人生経験があるからこそ、若手とは異なる視点で医師や他のスタッフに助言や提案ができる場合もあります。このような経験やスキルは、転職する際や新しい働き方に挑戦する場合にも大きな強みとなるでしょう。
派遣やパートのメリット・デメリット


常勤として働くのが厳しくなったとき、負担を減らす働き方として選択肢に挙がりやすいのが、派遣やパート勤務です。どちらも常勤に比べ収入は下がりますが、勤務時間を調節しやすく、自分のペースに合わせて柔軟に働ける場合が多いでしょう。
この章では、派遣薬剤師と非常勤・パート薬剤師のメリット・デメリットについて説明します。
派遣薬剤師
派遣薬剤師は、勤務先と直接雇用契約するのではなく、派遣会社と雇用契約を結び、各職場へ派遣されて働く形態です。
なお、同じ職場で勤務できる期間は、原則として最長3年間とされています(一部例外あり)。[2]



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高時給の仕事を探したい、人間関係を固定化したくない方におすすめの働き方です。
| メリット | デメリット |
| 高時給であることが多い人間関係のストレスが少ない即戦力として経験を活かして働ける責任のある立場から外れることが多く、精神的な負担が減る | 職場ごとに業務環境が変わり、慣れるまで負担がかかる調剤薬局では投薬や調剤業務が中心となり、業務が限定的になりやすい景気や現場の状況次第で契約終了となり、雇用が不安定になる可能性がある |
非常勤・パート薬剤師
非常勤・パート薬剤師も勤務時間や日数を調整できる働き方です。常勤からの切り替えであれば、同じ職場である場合が多いでしょう。新たに仕事を覚える負担も少ないため、無理なく続けやすいですよね。
しかし、同じ職場で非常勤・パートに切り替えられるかどうかは会社によるため、事前に確認が必要です。



うちやま あきこさん
常勤から非常勤・パートへの切り替えを考えている場合は、早めに会社に相談しましょう。
| メリット | デメリット |
| 雇用期間に制限がない場合が多く、安定して働ける業務環境が変わることが少ない役職を任命されにくい介護などと両立しやすい | 派遣薬剤師よりは時給が低い傾向にある職場が固定されるため、人間関係のストレスを感じる場合もある勤務時間の希望がとおらないときもある(人手が足りない時間帯のみの出勤など) |
自宅でもできる薬剤師の仕事とは


体力的に現場での勤務に不安がある場合は、在宅ワークを選択肢に入れてみるのもおすすめです。薬剤師はこれまでの実務経験や専門知識を活かして、自宅で働くことも可能です。



うちやま あきこさん
また、派遣やパート薬剤師と組み合わせれば、勤務時間を調整しながら収入面の不安もカバーできます。
在宅ワークはさまざまな種類があるため「どんな仕事を選べば良いのか迷う」という方もいるでしょう。この章では薬剤師がはじめやすい自宅でできる仕事を紹介します。
医療ライター
医療ライターの仕事は、医療や健康に関する情報を一般の方にもわかりやすく記事にする仕事です。疾患や薬に関する記事はできるだけ専門用語を避けながら、正確な情報を伝える力が求められます。そこで日々、医療現場で培った薬剤師の知識や経験が活かされます。
医療ライターは、納期を守れば働く時間や場所の縛りもないため、自分のペースで取り組みやすい点も魅力です。また、派遣やパート薬剤師と並行しながら副業としてもはじめられます。



うちやま あきこさん
パソコンが自宅にある場合は大きな初期費用も必要ない場合が多く、比較的はじめやすいといえるでしょう。
オンライン相談
在宅でも薬剤師の経験・知識を活かせる仕事の一つにオンライン相談があります。なかでも漢方に興味のある方におすすめなのが、「オンライン漢方相談」です。
スマートフォンやパソコンなどで相談者の悩みを聞き、症状や体質にあった漢方薬を提案します。あわせて日々の食事や生活スタイルのなかで改善すべき点についてアドバイスをおこないます。必要に応じて体調の変化を確認しながら、継続的にサポートしていくのが流れです。



うちやま あきこさん
はじめるにあたってとくに必要な資格はありませんが、漢方関連の資格をプラスで取得し、より専門性を高めることもできます。
もともと漢方の知識がある程度ある薬剤師にとっては、その強みを活かしやすい仕事といえるでしょう。
10年後もキャリアを活かし、無理なく働くために


もし働き方を変えたいと思ったときに、収入面もカバーできる“+α”の働き方ができる選択肢を知っていれば、自分にあった道を選べます。



うちやま あきこさん
いますぐでなくても、いつか来るその日のために少しずつ準備をはじめてみてはいかがでしょうか?
10年後、その先もこれまでのキャリアで培ってきた知識や経験は大きな強みになります。無理なく自分らしく働き続けられる薬剤師を、前向きに目指しましょう。


薬剤師ライター:うちやま あきこさん
薬剤師。20年以上にわたり薬局薬剤師として勤務し、循環器領域を中心に幅広い診療科や在宅医療を経験。現在は薬局で働きながら、医療ライターとしても活動しています。読者に「読んでよかった」と思っていただけるような、わかりやすく正確な情報をお届けしたいと思い、執筆に取り組んでいます。「第23回Medi+医療ライターのはじめかた講座」卒業生。
うちやまさんも受講した、「医療ライターのはじめかた講座」とは?









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