同じ薬を同じ量もらっているはずなのに、病院や薬局によって支払時の値段が違い、不思議に感じた経験はありませんか。
通院の回数が増えると、薬代や医療費の負担が気になる方も多いでしょう。
病院や薬局でもらう明細書には、薬そのものにかかる費用や調剤にかかる費用、薬剤師による説明・管理の費用などが記載されています。しかし、内容まで十分に理解するのは簡単ではありません。
医療ライター宮野 ゆりさん
本記事では、薬剤師である筆者が、薬代が決まる仕組みや、病院・薬局によって支払額が変わる理由を解説します。
薬代の負担を抑える工夫も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
薬代の内訳と支払い時の値段が決まる仕組み


薬局で支払う金額は、薬そのものの代金だけだとイメージしている方が多いのではないでしょうか。
実は、薬そのものにかかる費用だけでなく、調剤にかかる費用、薬剤師による服薬指導・管理の費用なども含めて決まっています。
薬そのものにかかる費用(薬剤料)
薬局で支払う金額のうち、薬そのものにかかる費用が「薬剤料」です。
厚生労働省の資料では、薬材料について
「調剤報酬明細書の『薬剤料』欄に記録された薬剤料点数に 10 を乗じたもの」
出典:厚生労働省 最近の調剤医療費(電算処理分)の動向 令和5年度2月号 用語の解説
と説明されています。[1]
つまり、薬そのものにかかる費用であり、薬価*や処方された量、日数などをもとに計算される費用のことです。
調剤にかかる費用
調剤にかかる費用には、薬局で薬を準備したり、処方箋を受け付けたりするための費用があります。これを「調剤技術料」といいます。



宮野 ゆりさん
調剤技術料には「調剤基本料」と「薬剤調製料」の2種類あるのが特徴です。[2]
調剤基本料は、薬局が処方箋を受け付ける1回ごとに算定される費用です。薬局の体制や医薬品の備蓄などによって変わる費用でもあります。
また薬剤調製料とは、薬局で処方箋に基づいて薬を取りそろえたり、必要に応じて調製したりすることに対して算定される費用です。
薬剤師による服薬指導や管理の費用
薬剤師による服薬指導や管理の費用を「薬学管理料」といいます。服用状況や残薬、副作用の有無などを確認し、必要な説明や管理を行うための費用です。薬学管理料の代表的なものに、「調剤管理料」や「服薬管理指導料」があります。[2]



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調剤管理料とは、処方薬について、患者さんやそのご家族から服用状況などの情報を収集し、その内容を薬学的に分析・評価したうえで、薬剤服用歴を活用しながら適切な管理を行った場合に算定される費用です。[3]
処方箋の受付1回につき1回算定されます。
つまり、薬剤師が患者様の服薬状況やアレルギー歴などを確認し、処方内容に問題がないか管理するための費用となります。
服薬管理指導料とは、薬剤服用歴を確認したうえで、薬剤情報提供文書を用いてお薬の説明を行い、残薬の有無や服用状況を確認し、必要な服薬指導を行った場合に算定される費用です。[2]



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薬の飲み方や注意点、残薬の有無などを確認し、患者様に必要な説明を行うための費用となります。
明細書を見ると費用の内訳がわかる
調剤薬局を利用すると、支払い時に「保険調剤明細書」を受け取ります。
明細書のデザインは薬局によって多少異なりますが、調剤技術料、薬学管理料、薬剤料、特定保険医療材料料* などの内訳が記載されています。



宮野 ゆりさん
薬局で支払う薬代に、どのような項目が含まれているのかがわかるので、ぜひ一度ご確認ください。
同じ薬でも支払い時の値段が変わる理由


同じ薬を別の薬局でもらったときに、「前と支払額が違う」と感じたことはありませんか。同じ薬でも、もらう場所によって、薬局ごとの体制やジェネリック医薬品の有無などが異なり、支払う金額が変わることがあります。
支払額が変わる理由について詳しくみていきましょう。
病院で受け取る薬と薬局で受け取る薬の違い
院内処方は、病院内で薬を受け取る方法、院外処方は、処方箋をもとに調剤薬局で薬を受け取る方法です。
院内処方と院外処方では、関係する費用の項目が異なります。院内処方では、薬局でかかる一部の費用が発生しないため、自己負担額を抑えられる場合があります。[5]
院内処方の場合、処方料や調剤料、薬剤料が主な費用となり、薬学管理料に相当する費用が発生しない場合も少なくありません。



宮野 ゆりさん
ただし、院内処方か院外処方かは医療機関の方針によるため、患者さんが自由に選べるとは限りません。
薬局ごとの体制の違い
薬局ごとの体制の違いでも、支払額に違いが出ることがあるのはご存じでしょうか。
薬局によって支払額に差が出る項目として、「調剤基本料」があります。[2]
調剤基本料は、薬局の処方箋受付回数や、特定の医療機関からの処方箋の割合(集中率)によって決まります。集中率が高い薬局では、調剤基本料が比較的低く設定されやすいです。[2]



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そのため、医療機関と同じ敷地内にある薬局を利用することで、自己負担額を抑えられる可能性があります。
ジェネリックの有無
ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、先に発売された薬(先発医薬品)と同じ成分が入っていて、同じような効果が期待できる薬のことです。
ジェネリック医薬品が安い理由は、先発医薬品で安全性や有効性が確認されているため、先発医薬品ほど開発にかかる費用や期間を必要としないためです。
見た目や使われている材料が少し違うこともありますが、価格が安いことが多く、医療費の負担を抑えやすいという特徴があります。[6]



宮野 ゆりさん
一方で、ジェネリック医薬品がある先発医薬品を患者の希望で選ぶ場合は、通常の自己負担とは別に、特別の料金がかかることがあるので注意が必要です。[7]
薬代の負担を抑えるためにできること


薬の制度そのものを個人の力で変えることはできませんが、日頃の小さな工夫や心がけによって、薬代の負担を抑えられる場合があります。
ここでは、今日から誰でも簡単に取り組める、薬代の負担を抑えるポイントについて、具体例を交えながらわかりやすく説明していきます。
ジェネリックに変更できるか相談する
ジェネリック医薬品は先発医薬品より価格が低いことが多いため、変更できるか薬剤師に相談してみましょう。
薬局によって採用している薬は異なるため、希望しても変更できない場合があります。しかし、薬代を抑えたい場合は、まず相談してみることが大切です。



宮野 ゆりさん
ジェネリック医薬品は先発医薬品と同等の効果があるとされているため、効果についても必要以上に心配する必要はありません。[8]
余っている薬があれば薬剤師に相談する
余っている薬(残薬)がある場合は、自己判断で服用をやめたり処分したりせず、薬剤師に相談しましょう。
残薬の状況によっては、処方医に確認したうえで、処方日数や調剤数量を調整できる場合があります。不要な薬を受け取らずに済めば、結果的に薬代の負担を抑えることにつながるでしょう。
なお、処方内容の調整が行われた場合、「残薬調整」に関する加算が算定されることもあります。[2]



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実際の支払額は薬の種類や調整内容によって変わるため、気になる場合は薬剤師に確認しましょう。
夜間・休日等加算がかかる時間帯を避ける
服薬管理指導料の中に、「夜間・休日等加算」という項目があります。
夜間・休日加算は、平日の19時以降や土曜日の13時以降、日曜日や祝日に薬局を利用した場合に算定される加算です。



宮野 ゆりさん
可能であれば平日の日中に利用することで、自己負担額を少し抑えられる場合があります無理のない範囲で、薬局を利用する時間帯を工夫してみるのもよいでしょう。
薬代が気になる時は薬剤師に相談しよう


この記事では、普段何気なく目にしている薬の明細書の見方から、薬代を少しでも抑える工夫について説明しました。
薬代を抑えたいと思っても、必要な治療まで減らしてよいのか不安に感じる方もいるかもしれません。
ぜひ、この記事を参考に、普段行く薬局の薬剤師さんに相談し、薬代について見直してみましょう。
引用
参照
[2]公益社団法人日本薬剤師会>HOME >薬局関連情報>調剤報酬改定等に関する資料>令和8年度診療報酬改定等に関する資料>調剤報酬点数表一覧(R8.6.1〜)
[5]厚生労働省>政策について>審議会・研究会等>厚生科学審議会 平成30年度第8回医薬品医療機器制度部会(ペーパーレス) 資料>資料2.薬局•薬剤師のあり方、医薬分業のあり方
[6]PMDA>安全対策業務>患者・一般の方からのくすり・医療機器の相談窓口>くすり相談窓口>くすりQ&Aジェネリック薬品> Q1後発医薬品(ジェネリック医薬品)ってなんですか?
[7]厚生労働省>政策について>分野別の政策一覧>健康・医療>医療保険>後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について


医療ライター:宮野 ゆりさん
私立薬学部卒業後、調剤併設型ドラッグストアに勤務。耳鼻科・小児科など幅広い診療科を経験。日々、患者様に寄り添った服薬指導を心がけています。働く上で人間関係に辛さを感じたことをきっかけに、医療ライターとして活動開始。発達障害や調剤報酬、医薬品関連の記事が得意です。「第23回Medi+医療ライターのはじめかた講座」卒業生。
宮野さんも受講した、「医療ライターのはじめかた講座」とは?









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