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糖尿病患者に大切なフットケア|観察のポイントと家族ができるサポート

糖尿病で血糖値が高い状態が続くと、足の感覚が鈍くなることがあります。
痛みや熱さを感じにくくなり、小さな傷や火傷に気づかないまま過ごしてしまうことも少なくありません。

その結果、治りにくい足の傷(足潰瘍)や、足の組織が回復できなくなるほど傷んでしまう状態(壊疽)へ進行し、下肢切断に至る危険性もあります。
こうしたトラブルを予防するために大切なのが、日頃から足を観察・手入れする「フットケア」です。

とくに高齢の方では、自分で足の異変に気づきにくい場合があるため、家族のサポートが重要になります。

看護師ライター

村川さおりさん

この記事では、糖尿病患者の治療に携わる現役看護師の筆者が、フットケアの必要性や患者家族ができるサポートのポイントについて解説します。

目次

なぜ糖尿病ではフットケアが必要?

糖尿病があると、以下のような変化が起こる場合があります。

  • 足の感覚が鈍くなり、痛みや違和感に気づきにくくなる
  • 血糖値が高い状態が続くと血管が傷つき血の流れが悪くなり、傷が治りにくくなる
  • 免疫力が低下し、感染症を起こしやすくなる

これらの要因から、気づかぬ間に小さな傷が悪化してしまい感染症を起こすなど、重症化させてしまうことも珍しくありません。
こうしたトラブルを防ぐためには、日々のフットケアが大切です。

しかし、とくに高齢の方では、視力低下や身体の動かしにくさから、足先の観察や爪切り・保湿などの手入れが難しい場合もあります。
そのため、家族による足の観察や手入れのサポートが、足のトラブル予防や早期発見につながります

糖尿病患者の足の観察ポイント

日頃から足を観察することは、糖尿病患者が足のトラブルを防ぎ、早期発見するために大切です。

患者本人では難しい場合、家族のサポートのもとで、足に触れながら次のポイントをチェックしましょう。[1]

  • 色の変化:赤い、青白い、紫・黒っぽくないか
  • 温度:冷たさ、熱さがないか
  • 皮膚:腫れ、むくみ、傷、乾燥やひび割れはないか
  • たこ・うおのめ:足裏や指に硬く厚くなったところはないか
  • 水虫:指の間が白くふやける、皮がむけているところはないか
  • 変形:指の曲がり、骨が出っ張っているなど形の変形はないか
  • 感覚:しびれ、感覚が鈍い(触れても気づきにくい)感じはないか
  • 爪:伸びすぎ・切りすぎ、変色(白や黄色く濁る)、爪が丸まる・皮膚に食い込む・分厚くなるなどの変化がないか

すでに傷やたこ・うおのめ、水虫など足のトラブルが起きている場合には、早めに医療機関を受診しましょう
とくに、たこ・うおのめは患者本人・家族が削らず、医療従事者に相談してください。

家族ができるフットケアのサポート

フットケアでは、足トラブルのきっかけとなる小さな傷を作らないことが大切です。
保湿や爪切りなど、日々の手入れの積み重ねが、元気に外出できる健康な足を守ることにつながります。

看護師ライター

村川さおりさん

患者本人でできる範囲は尊重しつつ、見落としやすい部分は家族が声かけ・サポートするなど、無理なく続けられるやり方を見つけていきましょう。

保湿

足裏は皮脂が出ないため、もともと乾燥しやすい部位です。
加齢や糖尿病が原因で汗をかきにくくなり、さらに乾燥が進んで、ひび割れを起こすこともあります。
ひび割れは細菌が入り込むきっかけにもなるため、まずは保湿で乾燥を防ぎましょう。

入浴で足を清潔にした後、十分に水分を拭き取ってから、保湿剤をこすらず広げるように塗ります。[2]
蒸れやすく水虫の原因になりやすいため、指の間には保湿剤を塗らないようにしてください。[1]

爪切り

爪切りは、入浴後などの爪が柔らかいタイミングで、次の手順で行いましょう。[1][2]

  1. 指先と同じくらいの長さで、爪をまっすぐ切る
  2. 爪の両端が引っかからない程度に、やすりがけして軽く整える

爪の長さや両端は、切りすぎないようにしましょう。
爪が丸まったり皮膚に食い込んだりするなど、トラブルの原因にもなります

爪が巻いている・厚い・患者本人や家族では切りにくい状態であれば、皮膚科やフットケア外来*に相談しましょう。

*フットケア外来:糖尿病をはじめ、足のトラブルを起こすリスクの高い方に対して、検査や治療・セルフケアなどの指導(足の清潔や爪切りなど)をする専門外来。[3]

靴選び・履き方の工夫

サイズの合わない靴や型崩れした古い靴を履き続けると、摩擦・圧迫で靴擦れや足のトラブルが起こりやすくなります。
靴の選び方や履き方を工夫すると足のトラブルを防止できるため、次のポイントに注意しましょう。[1]

  • 履く前に、靴の中に小石などの異物がないか、目で見て触って確認する
  • 靴の内寸は足より1~2cm長く、きつすぎず緩すぎないものを選ぶ
  • 購入時は、足がむくみやすい午後の遅い時間帯に試着する
  • 新しい靴は短い時間から徐々に慣らし、脱いだ後に赤み・皮むけ・水ぶくれ・出血がないか確認する
  • 同じ靴を連日履かず、複数足を使い分ける

足を守るための自宅環境づくり

高齢になると、視力や筋力・バランス感覚の低下により、自宅の中でも転倒しやすくなります

糖尿病があると傷が治りにくいことがあるため、次のポイントを意識しながら、自宅環境を整えて転倒やけがを防ぎましょう。[4]

  • 足元に灯りを設置する
  • 床になるべく物を置かない
  • コード類はつまずかない位置にまとめる
  • カーペットや玄関マットの下には、滑り止めを敷く
  • 浴室に滑り止めマットを敷く
  • 入浴時に衣服を脱ぎやすいよう、脱衣所に椅子を用意する
  • ベッドを使用している場合、壁に寄せて設置し、転落しにくくする
  • 浴槽、トイレ、廊下などに手すりの設置を検討する

床に落ちている小さな異物で足を傷つけないよう、こまめな掃除も大切です。

看護師ライター

村川さおりさん

裸足では歩かないようにし、滑りにくい靴下やルームシューズを履いて、足を保護しましょう。

足裏カイロ・湯たんぽ・電気こたつは低温やけどの原因となるため、できるだけ使用を避けましょう
使う場合は同じ場所に長時間当てないようにし、就寝前には使用をやめるなど工夫が必要です。

糖尿病による足のトラブルは早めに相談

以上、糖尿病患者を支える家族ができるフットケアのポイントを解説しました。

糖尿病があると小さな傷でも治りにくいことがありますが、日々の観察や手入れにより、足のトラブルは予防・早期発見できます
気になる変化があれば早めに医療機関へ相談することで、重症化予防にもなります。

すべてを毎日完璧に行う必要はありません。

看護師ライター

村川さおりさん

まずは「足の調子は大丈夫?」と声をかける、保湿のついでに足を見るなど、できることからはじめてみてください。

できることを少しずつ続けていけば、大切な人がこれからも健康な足でいきいきと過ごせるでしょう。

この記事の執筆者

看護師ライター:村川さおりさん
大学病院にて糖尿病・内分泌、膠原病内科を中心に経験し、療養指導にも携わる。現在は内科クリニックにて勤務。患者さん・家族が、病気や治療に前向きになれるような発信をしたいと考え、医療ライターとしての活動を開始。読者さんの不安な気持ちに寄り添い、わかりやすく、安心を届けられる記事執筆を心がけています。1児の母であり、趣味はカフェ巡り。「第22回Medi+医療ライターのはじめかた講座」卒業生。

村川さんもも受講した「医療ライターのはじめかた」講座はこちら

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