「頭痛や肩こりがつらい」「頭痛薬を持ち歩いていないと不安」など、頭痛や肩こりに悩まされている人はいませんか。もしかすると、その原因は「巻き肩」かもしれません。
現代社会ではデスクワークやスマホの使用が定着し、同じ悩みを抱えている人は少なくありません。巻き肩を放置すると、頭痛や肩こりのほかにも、さまざまな身体の不調を引き起こす可能性があります。筆者自身も、その影響に悩まされてきました。
理学療法士ライター森野まどかさん
この記事では理学療法士である筆者が、なぜ巻き肩と頭痛は関係しているのかをお伝えし、巻き肩を整える手軽で続けやすい3つのストレッチ方法をご紹介します。
自宅で簡単にできるので、頭痛や肩こりが気になる方や、普段の姿勢から見直したい方も、ぜひチェックしてみてください。
巻き肩と頭痛の関係性


巻き肩になると、首や肩まわりの筋肉が常に引っ張られたり、過剰に力が入ったりする『過緊張』という状態に陥ります。
過緊張は筋肉の血行不良を招き、頭を締め付けるような『緊張型頭痛』を引き起こす要因となるのです。緊張型頭痛は、数ある頭痛の中でも最も多くの人が悩まされている頭痛のタイプです。[1]
ここでは、巻き肩とはどのような状態なのかや頭痛が生じるメカニズム、そして自分の状態を知るためのセルフチェック法を解説します。
巻き肩とは?
巻き肩とは、肩が本来の位置よりも前に出て、内側にねじれた状態を指します。
胸の筋肉(大胸筋・小胸筋)は縮み、肩甲骨まわりの筋肉(僧帽筋・菱形筋)は引き伸ばされた状態が続くのが特徴です。この姿勢が続くことで、肩こりや首こり、頭痛など、さまざまな身体の不調を引き起こす原因となります。
巻き肩による頭痛発生のメカニズム
緊張型頭痛は痛みを認識する筋肉や神経、脳などの働きが複雑に関与していると考えられています。[2]
巻き肩などの姿勢不良が続くと、首や肩まわりの筋肉に負担がかかり、緊張した状態が続く可能性も少なくありません。



森野まどかさん
このような状態では、筋肉由来の痛みの刺激が生じやすくなり、神経を通じて脳へ伝えられ、緊張型頭痛の発症に関わる可能性があります。[3]
巻き肩のセルフチェック
「自分が巻き肩かもしれない」と思ったら、次の2つの方法で確認してみましょう。特別な道具がなくても、その場ですぐに確認できる方法です。
- 鏡の前で横向きに立つ
鏡に対して横向きに立ち、肩が耳の位置より前方に出ているかを確認する。 - 仰向けで寝る
床に仰向けで寝たとき、肩の裏側が床につかず、浮いているような違和感があるかを確認する。
このような場合は、巻き肩の可能性が考えられます。
巻き肩が影響する頭痛以外の不調


巻き肩は頭痛以外の不調にも関係する可能性があります。身体の不調は日常生活に支障をきたす可能性もあり、日常生活の質を低下させる原因にもなってしまうのです。
ここでは、巻き肩の頭痛以外の症状について詳しく解説します。
首こりや肩こり
巻き肩になると、頭部を支えるために首の後ろや肩・肩甲骨周りの筋肉(僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋など)に過剰な負担がかかります。
とくに僧帽筋(首から肩、背中にかけて広がる筋肉)は、血液が心臓へ戻る働きを促す静脈弁がほとんどみられず[4]、血流が滞りやすい可能性が少なくありません



森野まどかさん
巻き肩などの姿勢不良によって、首や肩、肩甲骨周りの筋肉の血流が滞ると、痛みの元となる老廃物が溜まり、その結果、首こりや肩こり、痛みの発生につながりやすくなるのです。
呼吸が浅くなる
巻き肩になると胸郭が圧迫され、呼吸にも影響をおよぼします。
呼吸時に肺が膨らんだり縮んだりする運動に関与しているのが胸郭です。胸郭は肺を取り囲む構造です。巻き肩によって胸郭の動きが低下すると、肺が十分に広がらず呼吸が浅くなります。
自律神経の乱れ
巻き肩による首こりや肩こり、痛みが生じた状態が続くと、身体はそれをストレスと感じます。その結果、自律神経のうち身体を緊張させる交感神経が過剰に働き続け、自律神経の乱れが生じるのです。
巻き肩を整える運動


巻き肩を整える運動では、まず大胸筋、小胸筋のストレッチを行い、次に僧帽筋や菱形筋の筋力強化を行います。
また巻き肩と胸郭の動きは相互に影響しているため、胸郭ストレッチは巻き肩を整えるためにも重要です。ここでは具体的な運動方法をご紹介します。
1.大胸筋、小胸筋ストレッチ
巻き肩になると大胸筋、小胸筋が縮みやすく胸郭の動きが硬くなります。ストレッチをしっかりと行い、胸を開きやすくしましょう。


- 壁の横に立ち、手を壁につける。
- 壁につけた手と反対方向へ身体をゆっくりとひねっていく。このときゆっくり息を吐きながら肩甲骨を内側へ寄せ、胸を開くイメージで行う。
- 肩~胸の前側にある大胸筋や小胸筋が、程よく伸びているところで20~30秒キープする。
- 反対側も同様に行う
ストレッチは以下の5つのポイントを意識して行いましょう。
①呼吸を止めない
②20秒〜30秒程度、ゆっくりのばす
③痛みが出ない範囲で伸ばす
④目的の筋肉が十分伸びているか意識する
⑤反動をつけない[5]
2.僧帽筋や菱形筋の筋トレ
僧帽筋と菱形筋は、肩甲骨を下げ、背骨に引き寄せるという作用があります。僧帽筋や菱形筋の働きにより胸が開き、併せて背筋を伸ばすことで巻き肩を整えます。


- 椅子に骨盤を立て背筋を伸ばして座る。
- タオルの両端を持ち、両腕を天井の方向へ伸ばす。
- 肩甲骨を背骨へ寄せるイメージで、両腕をゆっくり下ろしながら胸を開く。
- 胸が開いた状態で静止し、息を止めずに20秒ほどキープする。
筋トレは、鍛えたい筋肉を意識することが大切です。肩まわりの筋肉の動きを意識しながら実施しましょう。



森野まどかさん
また、注意点として胸を開くときに腰が反らないようにしましょう
3.胸郭ストレッチ
胸郭のストレッチは巻き肩を整えることにつながります。また胸の横の筋肉を伸ばすことで呼吸がしやすくなります。


1.椅子に骨盤を立て背筋を伸ばして座る。
2.タオルの両端を持ち、両腕を天井の方向へ伸ばす。息をゆっくり吐きながら右側の肘を曲げて体を左に倒し、右の胸の横を伸ばす。胸の横が程よく伸びている状態で20〜30秒キープする。
3.反対側も同じように行う。
大胸筋、小胸筋ストレッチの章でご紹介したストレッチのポイントを参考に、胸郭のストレッチを実施してみましょう。
日常生活でできる巻き肩の対策


巻き肩の原因の一つは、デスクワークやスマホ操作による下向きの姿勢です。緊張型頭痛はこうした不良姿勢が関係していると報告されています。[6]



森野まどかさん
予防には、セルフケアだけでなく、日常的に長時間同じ姿勢を避け、意識的に背筋を伸ばすことが大切です。
ここでは、デスクワーク時やスマホ操作時に意識したいポイントをまとめました。
デスクワーク時の姿勢の工夫
デスクワーク時は、以下の点を意識してみましょう。
- パソコンの画面の高さはできるだけ目線の高さに合わせる
- 椅子に深く座り、骨盤を立て背筋をのばす
- 足の裏はしっかり床につける
デスクワーク時の姿勢が整うと、首や肩への負担が減り、作業効率の向上にもつながります。
スマホ操作時の注意点
スマホ操作時は下を向いて見る場合が多いため、巻き肩につながりやすくなります。スマホを目線の高さまで持ち上げるよう、意識してみましょう。目線が変わると自然に姿勢も整いやすくなります。
セルフケアでも不調が続く場合


緊張型頭痛が生じるきっかけとして、心理社会的ストレス、不安、うつなどの精神的要因も関係していると報告されています。[6]
セルフケアを実施しても身体の不調が続く場合は、医療機関や専門家へ相談することも大切です。自身では気づかなかった姿勢の崩れや身体の問題点を知り、不調に振り回されない体づくりに役立ちます。
頭痛を和らげ、生活の質を上げていこう!


巻き肩による頭痛は、日常生活における姿勢の崩れが大きな原因となっています。



森野まどかさん
まずはセルフケアや姿勢の見直しを無理のない範囲で続けてみてください。
日々のちょっとした意識の積み重ねが、頭痛の予防や軽減につながります。頭痛に悩まされない身体をつくっていきましょう。


理学療法士ライター:森野まどかさん
専門学校を卒業後、病院や訪問看護ステーションにて勤務。整形疾患、脳血管疾患、がん、神経難病、小児疾患など幅広い分野のリハビリを経験。現在は育児と両立しながら、これまでの経験を活かし理学療法士×ライターに挑戦中。「悩みに寄り添う」を大切に、やさしく分かりやすい言葉で伝えることを心がけています。「第22回Medi+医療ライターのはじめかた講座」卒業生。
森野さんも受講した、「医療ライターのはじめかた講座」とは?









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